野原中学校

1.はじめに(学校の概要)

本校は、昭和24年組合立野原中学校として統合された伝統のある学校で、 昭和34年「五條市立野原中学校」と改称された。
豊かな自然に恵まれた環境の中で、全校で7クラスという小規模校のよさを生かし、 生徒相互、生徒と教師ともに連携を持ち、家族的な雰囲気で学校教育が行われている。

本校の図書室には、組合立時代に両校から持ち寄った本や昭和30年代に購入した本などもたくさんあり、 書架の3割ほどは何年も生徒が手に取ることのない本で埋められていた。 そのため、新規に購入した本を収める場所に苦慮していた。

本校では5年前から、朝の会の前の10分間を『野中タイム』と名付け、読書の時間としている。
『野中タイム』を実施することで、朝の会が落ち着いた雰囲気で始められるようになっている。

野中タイムの様子 野原中学校の取組と課題1

2.活用概要(活用実践、活動内容、その他)

1)環境整備

「五條市学校図書館資源共有ネットワーク事業」の第1段階である学校図書館の蔵書のデータベース化に際し、 書架の多くのスペースを占領していた古書を教育委員会の指導に沿って整理し、廃棄することができた。
また、学校の担当者では判断のつかない古書については専門家(図書館流通センターの担当者)のアドバイスを受けて廃棄するか、 残しておくか決めることができたので、安心して作業を進めることができた。
この作業にともない、混在していた図書を日本十進分類法に基づいた分類で整理しなおしたので、閲覧しやすくなった。
そして、書架にゆとりができたので、新規購入図書のコーナーを設けることもでき、生徒が図書館に新しく入った図書を見つけやすくなった。

図書部の活動の様子 野原中学校の取組と課題2
2)図書委員会の活動

図書委員会の活動は、週2回の貸し出し返却業務と図書の整備と新書案内の図書だよりの発行、図書室の清掃などである。
今回の事業により、今まで個人カードと貸し出し一覧表に記載して行っていた貸し出し・返却業務がコンピュータで処理できるようになったので、 手続きの時間が短縮するとともに、名前、日付等の記載ミスがなくなった。
そのうえ、以前は一覧表から抜き出して、手書きで作っていた督促状もコンピュータの簡単な操作で印刷できるなど、 図書委員会の活動が容易にできるようになり、生徒たちが楽しんで作業するようになった。

図書委員の感想
  • 貸し出しがとても早くなり、便利になった。
  • 便利だし、本を借りる人も借りやすくなったと思う。
  • 便利になったけど、操作の仕方が難しいときもある。
  • 便利になったけど、返却してない人がわかりにくいときもある。
  • 督促状がパソコンで楽に作れるようになった。
貸し出し・返却の様子 野原中学校の取組と課題3

3.成果と課題
(本事業の実施によって得られた成果、課題等)

1)成果

本校にとって、本事業の第一の成果は、図書室の環境整備ができたことである。
学校図書館は、長い年月をかけて集められた図書が並んでいるので、 担当者だけでは古書等の廃棄の判断が難しい。
しかし、コンピュータ化にともない教育委員会や専門家のアドバイスを得て、 思い切った整理ができたのでよかった。

また、パソコンの基本的な操作さえできれば、簡単に貸し出し・返却作業ができるので、 生徒たちが興味をもって活動できるようになった。

2)課題

生徒たちがパソコン操作で行う図書の貸し出しや返却業務については、 比較的短時間の講習で使いこなせるが、教師が行う「図書の管理」業務の中には、 複雑な操作を要するものも出てくる。
そのため、担当教師の「引き継ぎ」や複数配置など校内における体制作りが今後の課題である。